酸素濃縮器のしくみ
酸素濃縮器はお部屋の空気を取り入れて高濃度酸素を生成させる装置です。酸素濃縮器には窒素を吸着させる性質を持つゼオライト※と呼ばれる物質が入ったシリンダーが取り付けられており、コンプレッサーで加圧と減圧を繰り返すことによって、空気が酸素と窒素に分離されます(PSA方式)。
この生成された濃縮酸素を専用ケージに送り込むと、ケージ内の空気と調整され、吸入に適した濃度で動物に供給することができます。
このように酸素濃縮器は、酸素ボンベを使わずにお部屋の空気を取り込んで濃縮酸素を生成するため、停電や機器の故障がない限り連続的にペットに酸素を吸入させることができます。
※ゼオライトは無機質の天然鉱石です。化学薬品ではありません。ゼオライトは湿気や油煙、煙草の煙に弱い物質ですので、酸素濃縮器を加湿器の近くや浴室、キッチンには設置しないでください。また、設置しているお部屋での喫煙は避けてください。
コンプレッサーを使用しますので、常時低い動作音がします。また、減圧する際の「プシュー」という空気の抜ける音が発生します。
酸素濃縮器は医療機器ではございません。
弊社がご提供する酸素濃縮器は、スイッチを「ON」にするだけの簡単操作で濃縮酸素を連続的に供給することができます。種類によって生成される酸素濃度や流量など性能が異なりますので、目的に合った機器をお選びいただき、設置環境などご利用上の注意を守ってご活用ください。
酸素中毒について
濃縮酸素の吸入は、動脈血の酸素分圧を正常値に近づけ、からだの様々な組織に十分な酸素を供給することを目的とします。酸素分圧とは気体の体積あたりの酸素量を表す指標ですが、その値は気圧×酸素濃度で計算されます。酸素分圧が低いと酸素の摂取量が減って呼吸が苦しくなります。
酸素濃縮器をご利用される方の中には、継続的な濃縮酸素の吸入による酸素中毒を心配される方もいらっしゃいます。この点についてご説明しますと、酸素中毒は非常に高い分圧の酸素を長時間摂取した場合に起きる症状であり(たとえば深度におけるスキューバダイビング中にみられる中毒症状など)、単に高い濃度の酸素を吸入しただけでは起こりません。
具体的に数値を用いてご説明いたします。平地での気圧を1(760mmHg ※mmHgは気圧の単位)とすると、酸素濃縮器の気圧は高くても1.3気圧(988mmHg)程度です。酸素濃度35%の場合を考えると、酸素分圧は345mmHg (988mmHg×35%)となります。酸素中毒が心配されるのはこの酸素分圧の値が1,300mmHg以上の場合と考えられていますので、仮に酸素濃度を90%としても、酸素分圧は889mmHg (988mmHg×90%)にとどまります。
したがって、私たちがふだん生活している地で、適切な酸素濃度でご利用いただく限り酸素中毒を心配する必要はございません(そのような報告も見受けられません)。
なお、酸素濃縮器を正しくお使いいただくためにはいくつかのご注意点がございますので、そちらをよくご理解したうえでお使いください。
気圧(mmHg) |
酸素濃度(%) |
酸素分圧 |
---|---|---|
1,300〜 |
100 |
1,300〜 |
988 |
90 |
889 |
988 |
40 |
395 |
988 |
35 |
345 |
酸素欠乏、二酸化炭素蓄積について
弊社がご提供する専用ケージは、スチールパイプの骨組みに軟質のビニールカバーをかぶせたもので、材質・構造に工夫を重ねて作り上げております。ご使用にあたっては、側面のチャクを少し開けて隙間を作っていただきますので完全に密封された状態にはなりません。したがって、もし停電により機器が停止して酸素が流入しなくなったとしても、酸素欠乏の状態になることはございません(注)。また、動物が吐き出す二酸化炭素はこのチャックの隙間から外に排出されますので、ケージ内に二酸化炭素が蓄積するようなこともございません。
このように弊社の専用ケージは安全性に十分配慮した構造になっておりますので、酸素欠乏や二酸化炭素の蓄積を心配することなく安心してお使いいただくことができます。
(注)ただちに酸素欠乏の状態にはなりませんが、酸素濃度が下がり、温度や湿度が上昇することは確かですので体調に影響を及ぼす可能性があります。