酸素吸入の効果
酸素吸入は、空気中の酸素(約21%)よりも高い濃度の酸素を人為的に吸入することですが、これによりからだの組織に十分な酸素を供給し、健康の維持・回復のために様々な効果をもたらすことができます。
酸素吸入の効果
呼吸器疾患をかかえる場合、あるいは老齢で自力で呼吸をすることが困難な場合は呼吸を助けてあげることができます。また、手術後の体力が低下しているときは、血液中の酸素量を増やし、細胞組織に十分な酸素を行きわたらせることによって体力の回復を早める効果があるほか、長期的な酸素不足による高血圧や心不全などの合併症を防ぐ効果もあります。
さらに、酸素吸入は血行を良くするため、代謝が上がることによって肉体的な疲労を回復させるとともに、睡眠の質が向上して精神的なストレスを解消する効果も期待されています。
活性酸素について
上記のように酸素吸入は体に良い効果をもたらしますが、長期的な吸入によって活性酸素を多く発生させてしまい、この増加した活性酸素による体への悪影響を心配する声もあります。
活性酸素は、酸素が体内で消費される過程で酸素分子の一部が強い酸化作用により変化してつくられるもので、取り込まれた酸素のうち2%は活性酸素に変わると言われています。活性酸素は外部から侵入した細菌やウイルスを除去するという免疫機能を持ちますが、増え過ぎると細胞を酸化させてからだに悪影響を及ぼすマイナスの要素も持っています。
濃縮酸素の吸入によって、取り込まれる酸素の量が増え、同時に活性酸素も増えるのではないかと心配されるところですが、動物に対する一般的な酸素吸入(酸素濃度30〜50%の範囲)では、活性酸素が急激に増える可能性は少ないと考えられています。
問題視されているのは50%を超える高い濃度で継続的に吸入した場合ですが、通常は医療行為を除き50%を超える濃度での酸素吸入は行いません。したがって、酸素吸入を行う場合は、酸素濃度を日常的に管理することが重要となります。
活性酸素は取り込まれた酸素以外にも、食習慣の乱れ、たばこの煙や空気の汚れ、紫外線などといった環境の悪化、さらには精神的なストレスによっても発生するといわれています。
バランスのとれた食事を与えることや、お部屋の空気を汚さない、ケージを日のあたる所に置かないなどまわりの環境に十分配慮することが大切であり、さらにストレスを与えることは極力避けることが望ましいでしょう。